昨年10月の「香りのない有機ココナッツオイル」の自主回収について
昨年10月の「香りのない有機ココナッツオイル」の自主回収におきまして、多くのお客様、またお取引先様に多大なご迷惑をおかけいたしました。
2026年5月23日賞味期限の460gの「香りのない有機ココナッツオイル」から、通常は発生しない香りがすることが判明したため、回収をさせていただいております。
香りが発生する原因と回収後の改善について、改めてご説明させていただければと思います。
<香りが発生する理由について>
一般的にオイルは”トリアシルグリセロール”としてグリセロールに3つの脂肪酸が繋がった形で存在します。消化の過程でリパーゼという酵素によって、脂肪酸が分離(遊離)して脂肪酸2つの”ジグリセロール”と1つの”モノグリセロール”に分解されます。遊離したモノグリセロールは遊離脂肪酸と呼ばれます。
遊離脂肪酸は消化の過程でもできるものなので、特にそれ自体に健康被害はございません。また、一般のオイルにも少なからず含まれています。
オイルの状態で、加熱や水分による加水分解によって遊離脂肪酸が増えます。遊離脂肪酸になることによって、不飽和脂肪酸の場合は酸化されやすくなるため、その割合が高い場合にはデメリットになりえますが、ココナッツオイルの場合はほとんどが飽和脂肪酸のため、酸化の心配はほぼございません。
しかし、ココナッツオイル特有に含まれる短鎖脂肪酸の一つ「カプロン酸(C6)」と中鎖脂肪酸の一つ「カプリル酸(C8)」には元来特有の匂いがあり、3つの脂肪酸が繋がった状態ではその匂いはほとんど感じることはありませんが、遊離することによって揮発性が高くなり、特有の匂いを感じやすくなります。
カプロン酸(C6)の名前の由来、カプリ(capri)とはヤギという意味です。ちょっと違和感があるかもしれませんが、ヤギの毛からも抽出されるので、カプロン酸と名付けられました。カプロン酸はバターにも含まれています。 またカプリル酸(C8)も元来独特の香りがあります。
今回、「香りのない有機ココナッツオイル」において、通常とは異なる香りが発生する理由は、この遊離脂肪酸が通常よりも多いことが原因でした。
<遊離脂肪酸の基準と見直し>
我々のココナッツオイルの遊離脂肪酸の出荷基準は0.05%以下と元々厳しく設定されています。
オリーブオイルの場合、”エキストラバージン”と呼ぶためには遊離脂肪酸が0.8%以下という基準がありますが、それと比較してもかなり厳しい基準値を設定しておりました。
今回、回収対象になった5月23日製造分においても0.037%と、0.05%以下の基準を満たしておりました。
ただ、これまでのものと比較して0.01%ほど遊離脂肪酸の数値が高かったことから、特に加熱時に香りを感じることが判明しました。
そのため、今後は遊離脂肪酸を増やさないように厳密に製造工程を管理するとともに、検査基準を0.03%以下に引き下げました。回収対象ロット以降のものは新基準を満たしおります。
今後もより厳格に品質管理をし、皆様により良い商品をお届けできるように徹底して参ります。多くの方々にご迷惑と、ご不安とご心配をおかけしたことを深くお詫びいたします。
<香りのない有機ココナッツオイルの特長につきまして>
「ココナッツの香りがしない」という商品最大の特長をよりわかりやすくお伝えしたいという想いを込めて、2024年6月に商品名を「有機プレミアムココナッツオイル」から「香りのない有機ココナッツオイル」に変更いたしました。 そして、変更して間もなくこの香りに関する問題が発生してしまいました。
「有機プレミアムココナッツオイル」の頃からお使いくださっていた方からは「名前が違った。にせものなのか」というお問い合わせもありました。 初めて手に取ってくださった方からは「香りがないと言われて期待したのに」とお叱りを受けたこともございます。
この商品は活性炭と粘土鉱物でココナッツの香りを取り除いています。ただ、他の油とは違い全くの無臭というものではありません。特に加熱時に香りを感じることがございますので、ご理解の上お使いいただけましたら幸いです。
回収対象となったロット以外の商品は、これまで通りの品質であると判断してお届けしております。 ぜひ今後ともご愛用いただけましたら幸いです。