持続可能な甘味料 ココナッツシュガー
ココナッツ情報マガジン「ココナティスト」
COCONUTIST 2024・Summer
特集 持続可能な甘味料 ココナッツシュガー
ココナッツシュガーは、深いコクのある上品な味で環境にも優しく持続可能な甘味料としても注目されています。最近は、血糖値を上昇させることから敬遠されがちな糖類。糖質制限も注目されていますが、豊かな食生活には甘味料は欠かせません。そんな中でGI値(※1)の低いココナッツシュガーの魅力について迫っていきます。
※1 GI値…グリセミック・インデックスの略。食後血糖値の上昇を示す数値で、ブドウ糖を100として表している。
ココナッツシュガーはどのように作られる?
ココナッツシュガーは、ココナッツオイルやミルクと同じように、ココナッツの実から作られると思う方も多いのですが、ココナッツの花蜜から作られています。
ココナッツは、実がなる前に黄色い花が咲きます。
開花前は「苞(ほう)」に包まれており、そこに切り込みを入れてポタポタと落ちてくる花蜜がココナッツシュガーの元となる「ココナッツサップ」で、竹筒などで採取します。
採取した花蜜は、ゆっくりと煮詰めて水分を取り除くと、粘性の高いキャラメル状になっていきます。さらに煮詰めて結晶化させることでココナッツシュガーが出来上がります。
最も持続可能な甘味料
ココナッツシュガーは、継続して花序(※2)から花蜜を集めることができることから、2014年に国連食糧農業機関(FAO)から世界で最も「持続可能な甘味料」として定義づけられました。
単位面積あたりの生産量は、毎年植え替えて作られるサトウキビの砂糖よりも50〜75%多く、ココナッツの木は農薬や肥料も必要としないことや、海水を好み適度な塩分が保水性を高めるため、水を定期的に与えなくても70〜80年程収穫できると言われています。また、ココナッツシュガーの生産は、貧困地域の多い東南アジアの花蜜を集めるココナッツ農家の仕事作りにも貢献しています。
さらに木の上で花蜜の発酵が進まないように、20〜30mあるココナッツの木に1日3〜4回ほど登ってこまめに採取して煮詰める必要がありますが、1本の花序からは1日で約700ml〜1Lほどの花蜜が採取できます。およそ8〜10Lの花蜜で1kgのココナッツシュガーを作ることができます。
※2 花序(かじょ)…枝上に花が並んでいる状態
コラム①
ココナッツの花序
ココナッツの木にはおおよそ1ヶ月に1本、新しい円錐形の花序が作られます。花序は3〜4ヶ月かけて大きくなり、最大で1〜1.5mほどまで成長します。開花前は苞(ほう)で包まれており、苞が開くと黄色い花が出現します。花は雄しべと雌しべに分かれており、先端に雄しべ、基幹部に雌しべがあります。
花粉は風によって飛散され、昆虫が媒介することで受粉します。一般的なココナッツの品種では、雄しべと雌しべは自家受粉(※3)を防ぐために、開花時期をずらします。これはココナッツ遺伝的多様性を維持するためです。しかし、Dwarf 矮小種(わいしょうしゅ)と呼ばれる背の低いココナッツの場合は、雄しべ雌しべの開花時期が重なり、自家受粉が行われ、他の品種との交配が行われることがありません。
※3 自家受粉…雌雄同株の植物で、花粉が同株の花の雌しべについて受粉が起こること。
背の低いココナッツ(矮小種)
コラム②
花蜜の発酵
ココナッツの花蜜は発酵しやすいため、良質なココナッツシュガーを作るには、採取した花蜜をできるだけ素早く煮詰める必要があります。太陽が登っていない夜中から朝方に集められた花蜜が良質なココナッツシュガーになるのです。花蜜の発酵は一般的に乳酸発酵が先に起こり、糖が乳酸に変化して白濁して酸味が出てきます。その後すぐに残った糖がアルコール発酵することで、1ヶ月もするとココナッツワインやトゥバと呼ばれるお酒に生まれ変わります。そこからさらに数ヶ月すると酢酸発酵が起こり、糖とアルコールが酢酸に変化しお酢(ココナッツビネガー)に変わっていきます。
ココナッツの花蜜を煮詰める様子
コラム③
花蜜の発酵
ココナッツシュガーの一番の特長は、血糖値の上昇度合いを数値化したグリセミック・インデックス(GI)が35と、一般的な甘味類よりも低く、血糖値が上昇しにくいことです。白砂糖と比べると約1/3、てんさい糖やメープルシロップと比べても約1/2のGI値です。
また、マグネシウムやリン、亜鉛といった必須ミネラルも含まれ、豆類や穀物類に多く含まれる抗脂肪肝ビタミンとも呼ばれるイノシトールが100g中約230mgも含まれます。
読者アンケート 季刊誌ココナティスト 読者プレゼント!
季刊誌ココナティスト読者プレゼント!
アンケート&プレゼント応募はこちらから