2024年2月。
ココウェルファームが始動しました!
場所はおおさかのてっぺん能勢(のせ)です。
ココウェルはココナッツ専門店として今年で20年を迎えます。
そんな節目の年に新たな挑戦が始まりました。
遡ること2年ほど前。
私は農業がやりたいことを雑談の中で代表水井に伝えました。
すると、水井からは「フィリピンでココナッツのテーマパーク、ココファームを作りたい。」と返事が返ってきました。
その時に私は「社長はフィリピンでココファーム作ってください!私は日本でココファームジャパンを作りたいです。」と答えました。
その夢が2年後に実現しました!ココウェルファームで育てた野菜を通して、食の安心・安全を伝えていく。始まったばかりでまだカタチにはなっていませんが、この2か月を振り返りここまでの歩みを記録することにします。
<場所について>
ココウェルファームからはこんな景色が広がっています。
ココウェルファームを立ち上げることが決まって、大阪府が開催する農業参入セミナーや農業関連ビジネススタートアップMTGなどにも参加し、農地を探しました。
私は「原点回帰」というコミュニティで仲間と一緒に畑をしています。そこでは菌ちゃん先生こと、長崎の吉田俊道先生が教えてくれる菌ちゃん農法で無農薬無肥料で立派な野菜が収穫できています。ですが、どこかの農家さんに研修に行ったわけでもなく、資格などはありません。
地域によっては農地の借用には、確実に野菜を栽培できることを証明するための資格が必要だそうで・・・まずは農家に1年もしくは半年研修に行ってからとの返答が。
でもその研修の内容は、月に1回指定農家さんに行って野菜の栽培方法などを学ぶというもの。「ん???月に1回で半年もしくは1年。たった6回の研修で「確実に野菜を育てられる」という証明?になるんだろうか。」そんな資格必要なんだろうか。私は今すぐに始めたいし、この2年自分なりに畑のことを学んできた。何よりもう待てない。ということで、そういう資格がなくても農地を貸してもらえる場所を探しました(笑)
能勢町は大阪のてっぺんにあり、兵庫県・京都府と隣接しています。能勢町全域の約3分の1が農業振興地域ですが、人口減少、少子高齢化、農業を担ってきた世代のリタイア期で後継者不足などが抱えている問題としてあり、7割の農家が今後10年以内に耕作できない状況になるそうです。
ココウェルファームが借り受けた農地は全部で約3反(約3000㎡)。谷あいにあり標高は300mほど。段々畑になっているので、合計4段あります。
社長と農地視察に。ここは10年耕作放棄地の場所だそうです。元田んぼなので、水はけの問題など気になることはたくさんありますが、ココウェルとしてはとりあえずここで「ココウェルファーム」を始動させることとなりました。
主品目は「サツマイモ」で、その脇で季節に応じた野菜をできる範囲で育てたいと思っています。10年携わった通販チームを卒業させていただき、2月よりココウェルファーム部門に異動です。まずはひとり。
<さて。どこから手を付けようか。>
まずは畑内の観察です。鹿の糞がある。
イノシシの毛も落ちている。獣害対策は必須です。
雑草の種類は、セイタカアワダチソウやススキ、イグサなど。ココウェルファームはまずは無農薬無肥料の菌ちゃん農法からスタートさせます。菌ちゃん農法ではセイタカアワダチソウやススキの刈草は有機物として使用します。
雑草もお宝に見えるから不思議(笑)これらを刈払機で刈っては積み上げ、刈っては積み上げ。2月はひたすら草刈りです。
草刈前↓
草刈り後↓
だいぶすっきりとしてきました。前の管理者が残していった農具もビニールシートに包まれて雑草の脇から出てきました(笑)
そして、これ、わかりますか??
ぽこぽことモグラの穴です。どうやらモグラさんもいるようです。これは土作り頑張らないといけません。菌ちゃん先生こと、吉田俊道先生の言葉を思い出しました。
「有機物の分解・合成過程には発酵と腐敗がある。私たち人間は発酵の世界で生命を食べ繋いでいる。ウジ虫や害虫たちは腐敗している食べ物や腐敗しそうな食べ物を食べて栄養を吸収している。
畑によく現れるフトミミズは腐敗の生き物で、空気の少ない固い土や、微妙に腐敗臭のする土にたくさん発生し、腐敗しかけた有機物を食べて暮らしている。モグラはそんなフトミミズを食べるために腐敗臭のする土の方へ動き回る。つまり、モグラがいるってことは土が腐敗に傾きすぎてるということ。」
モグラの存在を確認した私は、腐敗に傾いている土を発酵の土に変えれるように、草刈りと並行して水はけ改善のために溝堀りも開始しなければいけません。
溝はというとこんな状態です(笑) どこに溝があるのでしょうか。。。虫の少ない季節でよかった!さぁ、掘るぞー!
ということで、毎日コツコツと溝堀り。
溝が出現しました。
畑内にキノコの存在も確認。ん!!!キノコが生えるってことは糸状菌がたくさんってこと??菌ちゃん農法では糸状菌が野菜を育てる。糸状菌を増やすことが成功への道。いや・・・でも水はけの悪い土では野菜は育たない。私の頭の中は大忙しです。
朝早くからココウェルファームへ向かった日は、畑から朝日を浴びます。
鳥の声が聞こえ、ほんとに気持ちがいい朝です。早くこの場所をたくさんの人が訪れる観光農園にしたい。
とはいえ、3月に入ってもまだまだ寒く、シートの上にたまった水は凍り、雪が積もることも。
溝堀りの毎日はくたくたで、毎晩夜21時には自然と目が閉じていきます。家事もそこそこに睡眠優先で体力を回復させる日々。家が片付かず、疲労もたまり、手にも腱鞘炎のような症状が出始めました。毎日毎日掘っているのに、そんなに進んでいるようにも見えない。少しずつ気持ちがネガティブになる日もちらほら。ここで私の手が動かなくなったら…どうしよう…と思いながらも溝を掘り進める毎日。
でも、毎日ひとりで作業していますが、実はひとりではないのです。「ここでなんや農業するんか?」と聞きつけた地元のおじさん達が毎日様子を見に来てくれているのです(笑) 溝堀りの経験がない私に溝堀りのコツを教えてくれたり、使いやすい農具を貸してくれたり、自分では取り除けない大きな石を取り出してくれたり。
そして菌ちゃん農法をするためにもみ殻や竹をたくさん調達したくて、自分でも頑張って動きましたが調達できるところが見つからず途方に暮れていると、「竹もらえるところ聞いといたで!」「もみ殻なぁ、分けてくれるところあったで」と、たくさんの方々のサポートがあります。本当に感謝の日々で、前に進むしかありません。
溝堀り行程は手が限界なためそこそこにして、次は竹炭作りを進めていきます。竹炭は無煙炭化器で作ります。理想は1㎡あたり20㎏。まず最初にカタチにしようと思っている一番上の畑の面積は636㎡。ということは、理想値は12,720㎏。ん?計算合ってるかなとなる数字(笑)ひたすら竹を運搬、焼く日々が始まりました。
ひとりだと軽トラにロープをかけるのも一苦労でした。ロープワークもきちんと学ばないといけない。学ぶことたくさんです。
竹の運搬から、裁断、水の準備、火の管理、、、もくもくと進めていきました。少しずつ炭の量が増えていくのが嬉しい。
ここに置いてる竹、全部もっていっていいよと言ってくれる地元の人。
ありがたく使わせていただきます。この竹林で切っては軽トラに載せてという作業をしていると・・・事件が起きました。
次の竹を軽トラに載せようとしたとき、荷台の上のマムシと目が合う。
えっ!!!!!しばらくフリーズするも、ここには私しかいない。自分で何とかするしかない。あの柄はマムシで間違いない。毒蛇。泣きそうになりながら、まずは軽トラの荷台から降ろしました。
どこから出てきたんだろうか。おそらく竹の中で冬眠していたんだと思います。そうとは知らず、その竹を切断、軽トラに積み込んでました。地面に降ろすと落ち葉と同化している。目を離すとわからなくなる。うっかり踏んだら絶対に噛まれる。この場所にはまだまだ竹を取りに来ないといけません。謝りながら2回竹を使って叩きました。そしてその場所の近くに木の枝を指し目印に。動揺しながらも畑に戻ることに。畑に戻っても落ち着かず、戦意喪失状態です。都会生まれの都会育ち。人生で初めてマムシに遭遇した衝撃は強く、運んできた竹を触るのが怖い状態に。
そこで少しでも竹に触らずに竹を降ろそうと、普段なら入れない場所まで軽トラを畑内に入れました。そして無事に竹を降ろせ軽トラを出そうとしたら、、、さらなる事件が。
軽トラがスタックして動きません。
のどかな写真に見えますが、軽トラが完全にはまっています。1mmも動きません。。。今朝まで降り続いた雨で、畑内はぬかるみ状態。冷静に考えたらこんな状態の時には絶対にここまで車を入れませんが、、、マムシに動揺していた私は判断を誤りました。
さて、どうしよう。まずは保険会社に電話。すると事故でも故障でもないので全額有償ですとのこと。一旦電話を切る。そして地元のおじさんに電話。「すぐには行けんけど、待っとき~」とのこと。ただ待つだけもあれなので、YouTubeで情報検索。板!板があれば脱出できるかも。と板探し。幸いにも簡易物置の蓋にしている板がありました。そして、板を切ったり敷いたりしているときに地元のおじさんが駆けつけてくれ、何とか脱出成功。
「なんでこんな奥まで軽トラ入れたんや?」との問いに、朝のマムシ事件を伝える。すると、マムシは2回叩いたくらいじゃ死なん。マムシのところまで連れて行ってと。2人でマムシ現場まで戻る。
そしておじさんが最後のトドメを指す。
マムシを殺したことへの罪悪感。でもおじさんは「他の蛇は逃がしたらええ。でもなマムシだけは別や。」と。日々、たくましくなる自分。経験値が上がっていく。ここ最近少しネガティブになってた気持ちはマムシ&軽トラスタック事件でさらに落ちた。でも!!!ネガティブな気分が一旦底まで落ちると、もう上がるしかありません。そこが私のすごいところ。
私の意識が私の世界を造っている。私は、「もうできへんかも」という世界にはいたくない。この場所で、サツマイモや野菜を育てて、それをココウェルラボで加工したり、サリサリストアで販売、観光農園にもしてたくさんの人と土に触れあう喜びを分かち合いたい。ココナッツの外側の繊維のココピートも流用して、農業分野でのココナッツの可能性も広げたい。私はココウェルファームで実現したいことがたくさんある!そして今こうしてさせてもらえている現実がある。自分の意識を「ちゃんとできるよ」という世界に移動させる。そして仕切り直し。
笹の根が深く入っているこの場所。「畝を立てるには大型のトラクターを入れて一旦耕起せなどないもならんで。」と言われ、JAの営農制度を使ってトラクターを入れてもらおうとこの2か月動いてきたけど、JAの会員にはなれなかった。実績がないことと、能勢に土地を所有していないから。耕起というハードルが私の前に立ちはだかっていた。耕起無理やったら不耕起でできないか。など色々考える。でも、地下の笹の根ネットワークはすごい。悩んで悩んで悩んでた。
でも!この問題も、地元のおじさんが最終的に助け舟を出してくれました。4月1日。畑にトラクターが入りました!
トラクターで畑に上がってきてくれたおじさんは王子様に見えました。トラクター王子です。感謝です。心配していた通り1回ではすけず、2往復してくれ笹の根を掘り返していきます。
竹炭は理想の量に達することはできなかったけど、自分の納得するところまで作ることができ、無事に耕起も完了。おじさんは御年77歳。ありがとうございます!
帰っていくトラクター王子。ありがとうございます!!!!そして畑はこんな感じになりました。
畑の景色が一気に変わりました。毎日ドロドロになりながら取り組んだ2か月。まだまだ志半ばですが、感無量です!
笹の根はまだまだあります。全てを取り除かないとまたすぐに生えてきます。それにはトラクターですいたところを再度手押しの耕運機か管理機を走らるのがいいとのこと。とりあえず一部分だけ鍬とスコップでできる限りの笹の根を取り除き、見本となる菌ちゃん畝を作ってみることに。
まずは畝の両側に菌ちゃんの餌となる枯れ竹を入れていきます。ここから土を被せて高畝を作っていきます。掘っては被せの繰り返し。溝堀り同様にかなりの重労働です。でも自分で作った菌ちゃん畝、見てみたい!その一心でひたすら土をあげていきます。
そして畝の上に刈って野ざらしにしておいた雑草をのせていきます。
そして野ざらしにしておいたもみ殻ものせていきます。すべて菌ちゃんの餌になります。
最後にまた薄く土を被せ、一晩雨に濡らします。ちょうど明日は雨。その後、黒マルチをかけ重しをのせて菌ちゃん畝が完成です。
菌ちゃん畝は高いのが特徴です。地元のおじさんが「なんやごほうでも作るんか?」と笑うくらい高くておっきな畝で、見た人はみんなびっくりしますが、これで無農薬でも虫がこない元気な野菜が育ちます!菌ちゃんありがとう~!よろしくね~!
ということで、ここまでがココウェルファーム2か月の歩みとなります。色々ありましたが、感謝感謝の2か月。今年の11月には少しでもサツマイモが収穫できますように。ありがとうございます。
■山から繋がるココナッツ♪
https://www.cocowell.co.jp/blog/2022/12/23/1125/
■Birthday登山もココナッツ三昧♪
https://www.cocowell.co.jp/blog/2023/04/12/1133/
■ココピートって何?