仕組みから変える真のフェアトレード

2022/08/06（土）

ココナッツ情報マガジン「ココナティスト」
COCONUTIST 2022・Autumn

ココウェルと考える“SDGs”

仕組みから変える真のフェアトレード

2015年に国連で採択されたSDGsを、企業はどう取り入れていけばよいのだろう？そんな疑問から始まった「ココウェルと考える“SDGs”」公開インスタライブインタビュー！今回は、Dari K 株式会社代表取締役の吉野慶一さんをゲストにお招きしました。その一部をご紹介します。

interview:
Dari K 株式会社　代表取締役

吉野慶一（よしのけいいち）さん

インドネシアの生産者とともにカカオの栽培・収穫から発酵・乾燥まで一貫して管理し、チョコレートに留まらないカカオの可能性を切り拓くカカオプロデューサー。良質なカカオ豆から厳選して作られるチョコレートは、国際的な品評会でも高く評価。SDGsの先進企業としても国内外から注目されている。

SDGsの広がりによって変化はありますか？

Dari K 吉野さん：興味を持ってもらう機会は増え、以前より様々なセクターとの連携も生まれています。

ココウェル代表水井：セブンイレブンさんで商品を発売され、ロッテさんのグループ入りもされましたね。Dari Kさんの発酵技術が、ロッテさんには魅力になったと聞きました。技術はどのように学ばれたのですか？

吉野：ほとんど現地で学びました。カカオの質の良し悪しすらも分からないところから、論文を読み現地へ足を運び、試行錯誤してきました。

水井：国際価格に左右されていたカカオを、発酵することで価値を高め農家への買取価格を安定させたというのは、すごいです！

そうした取り組みがあって長年フェアトレードを実現できているんですね。

吉野：かわいそうだからと購入されるのではなく、商品価値を向上することで収入が増え、努力が報われる。これこそ真のフェアトレードです。僕らは2016年に、現地法人「PT KIC（※）」を設立しました。農家と密に話し合い、生産課題を一緒に解決するためです。ココウェルさんも、創業時から現地に通われていますよね。マーケットのあるオイルやシュガーだけではなく、ココナッツの可能性に着目して現地の方と新商品を開発されています。情報発信もしっかりとされているところは参考になります。

水井：ありがとうございます。

（※）…正式名称はPT Kakao Indonesia Cemerlang

ココナッツとカカオは生産面から見ても、相性が良いです。

水井：近年、フィリピン政府はアグロフォレストリーを推奨しています。樹高が高いココナッツと背の低いカカオは、同じ畑で育てやすく、単一農業よりも土地が痩せにくいメリットがあります。

吉野：一つの畑で複数作物を育てれば収入増に繋がりますし、葉の養分も異なるので豊かな土壌を形成します。生物多様性の寄与にもなるし、生産性も高い印象です。

水井：ココウェルの契約農家にも、カカオとのアグロフォレストリーを提案しています。

最後に、生産者・消費者・環境それぞれにとって喜ばしい社会を作るためにできることを教えてください。

吉野：食べ物が作られ手に届くまでの過程に思いを馳せてほしいです。先日、京都に「Dari K 四条河原町店」をオープンしました。店舗の目玉はその場で瞬時にカカオ豆をペースト状にするカカオグラインダー「beyond C」です。このCにはカカオ、チョコレートなど複数の意味が込められています。でも一番伝えたいのはコモディティを超えていきたいという思い。一律の価格ではなく、高品質なものは高く買われ、農家の努力が評価される社会になってほしいです。