ココナッツ専門店ココウェル

COCONUTIST 2021 spring
Philippines Report Vol.3

小さな島のおしどり夫婦
@フィリピン アラバット島

ミレット・ルセリアーノさんp

 いつも柔らかな笑顔で私を迎えてくれる女性、ミレット・ルセリアーノさん(50才)。10年前からフェアトレードのココナッツ雑貨を作り、日本に届けてくれている女性の一人です。ミレットさんがココナッツ殻を電動やすりで削ったり磨いたりする手さばきには、目を見張ります。なめらかな動きで仕上げていく様を見ていると「簡単そう、私にもできるかも」と思うのですが、いざやってみると思うようにいきません。

絶妙な手つきで殻を削り磨く

しっかり光沢が出るように、でも削りすぎて壊れやすくならないように、殻のカーブに合わせて絶妙な角度と強さでやすりをあてていきます。その手際の良さは、まさに職人技。静かな自信がにじみ出るその表情に、見入ってしまいます。

感染対策をとりながらの作業

 ミレットさんが暮らすアラバット島は、人口約4万人、全長40kmほどの小さな島です。ココナッツ農業と漁業で生計を立てる人がほとんどのこの島では、多くの女性が主婦として生活しています。「天候の悪い時期は、夫の稼ぎだけでは食べていけない。」「できれば私も外で働いて、子どもの教育費を稼ぎたい。でも、農業や漁業は男性の仕事。この島には、女性でもできる仕事がほとんどないんです。」そんな声を、多く耳にします。

何とか資金を工面して小さな雑貨店を始めたり、お菓子を作って売り歩くといった商売をする女性もいますが、経営の知識や経験が足りず、続かない人が少なくありません。フェアトレードによるココナッツ商品の生産・販売は、そうした女性たちに働くチャンスを届けるために始めました。

 

ミレットさんの夫、アンディさん

 ミレットさんの夫、アンディさん(48才)も、穏やかであたたかい人です。二人の馴れ初めを尋ねると、目を細めて出会った経緯を聞かせてくれ、今も妻のことが大好きだと話してくれました。アンディさんは、漁業や農業をしながら、村議員を務めています。議員報酬はごくわずかなので、3人の子どもたちを育てるのは楽ではありませんでした。それでも、長男(24才)と長女(21才)はハイスクールを卒業し、今はそれぞれ、マニラ首都圏のレストランと地方都市の工場で働いています。次女(20才)は本島の大学に通っています。「私がココナッツ殻雑貨の生産者になったのは10年前の2010年6月のことです。それ以来、生活必需品を買うのにも困るような暮らしから脱することができました。でも最大の変化は、子どもたちを高校や大学に行かせられるようになったことですね。」とミレットさん。

小さな島のおしどり夫婦

 人生で最大の困難は何だった?と尋ねると、「それはもう、今です。新型コロナのせいで、私も夫も子どもたちも、いつも通りに働くことができなくなりました。かなり倹約して、切り詰めないとやっていけない状況です。」とのこと。

 

ココナッツの丸みを活かしたフォルムが特徴的

日本でココナッツ製品を気に入ってくださる方を増やすことで、ミレットさんたち生産者を応援していきたいなと思います。

 

筆者プロフィール
認定NPO法人アクセス 野田沙良
フィリピンで活動する国際協力団体アクセスで、「子どもに教育、女性に仕事」を柱とした活動に従事。フェアトレードのココナッツ殻雑貨などの生産・販売も。
https://access-jp.org

〜 ココナッツ殻の手作り雑貨 〜
ココウェル通販&直営店にて販売中!

販売サイトはこちら↓
https://www.cocowell.co.jp/c/goods

①ボウル  770円(税込)
②ソープディッシュ  880円(税込)
③ココナッツボタン  330円(税込)

ココナッツのまるいフォルムを活かした手作りの殻雑貨です。人気のボウルなどの小物入れや、サイズ違いのボタンなどもご用意しています。