「ココナッツオイルには発がん性がある」という間違った情報が、たびたび取り上げられます。
(「医者が教える食事術」という本にも、そのように書かれているようです。)
その情報を知って、不安を感じられたお客さまから質問を受けることが何度もあるので、こちらでもきちんと説明しておきたいと思います。
以前から「ベンゾピレン」という発がん性が疑われる多環芳香族炭化水素(PAHs)がココナッツオイルに含まれるという情報が出ていました。このベンゾピレンという物質は、有機物質の燃焼の過程で、炭化水素化合物が不完全燃焼して発生します。
例えばゴミの焼却や焚き火、タバコの煙に含まれると報告されています。また、食品では鰹節や焼肉や焼き鳥などの直火で焼くお肉、また薫製した食品にも含まれています。鰹節に多いのは、焙乾という乾燥工程で薪を使って燻されるためです。
ではなぜココナッツオイルにこのベンゾピレンが含まれることがあるのでしょうか。それは原料となるココナッツの果肉を燻して乾燥させることがあるからです。
精製ココナッツオイルは、「コプラ」と呼ばれるココナッツの胚乳を乾燥させたものから圧搾されますが、一部の地域ではヤシ殻などを燃やして、その煙で胚乳を乾燥させているところがあります。
鰹節と同じように、煙で燻して作られたコプラから圧搾したココナッツオイルには、ごく微量のベンゾピレンが含まれる可能性はありえます。しかし、一般的には天日干しが多く、最近では機械乾燥でコプラが作られているところもあります。火を使っていない限り発がん性のあるベンゾピレンは含まれないでしょう。
ココウェルのエキストラバージンココナッツオイルは割りたての生の胚乳を機械で温風乾燥させてから圧搾しています。無臭のプレミアムココナッツオイルは天日干し乾燥をしてコプラから圧搾されていますので、もちろんベンゾピレンが含まれる心配はありません。
同じ食品でも製造工程によって微量に含まれる物質が変わってきますので、選ぶ際の参考にしていただけたらと思います。